出資馬を決めよう vol2


カタログをチェック


@ お見合い写真は大切
 パンフレットを開くと募集馬の写真が目に付きます。これはお見合い写真と同じで、一目惚れした出資馬が大活躍したという話をよく聞きますから、非常に重要です。第一印象を大切にしましょう。
 またパンフレットの募集馬の写真ですが、非常に上手な(走りそうな感じがする)写真を使っているクラブと、素人が撮ったような(走らなそうな感じがする)写真を使っているクラブがあります。前者の方が魅力的に見えますが、実際は後者の所属馬の方が好成績だったりすることもあります。複数のパンフレットを比較すると違いがはっきりするので、いくつかのクラブにパンフレットの請求をすると良いでしょう。


A ビデオはケチらずに
 クラブによっては毎年募集馬の見学ツアーを企画しています。募集馬の選考については、それに参加することが一番です。
 しかし実際には時間的にも経済的にも参加できない方が多いはず。そこで利用したいのは募集馬ビデオです。写真よりビデオの方が正しいイメージを伝えてくれるはずですので、お金をケチらずにビデオも入手した方が得策です。


B 血統を徹底分析
 インブリードとは近親配合のことで、クロスとも言います。意識的に近親配合になるように種付けをして、対象となる馬の特徴をその産駒に多く伝え、強い馬が生まれるようにします。インブリードで有名なのは1999年度代表馬のエルコンドルパサー。その血統表を見ると名血とインブリードのオンパレードです。しかし近親度合が強すぎると、体が弱い馬や気性が悪い馬が生まれてしまう可能性もあります。


エルコンドルパサー Kingmambo Mr.Prospector Raise a Native Native Dancer Polynesian
Geisha
Raise You Case Ace
Lady Glory
Gold Digger Nashua Nasrullah
Segula
Sequwnce Count Fleet
Miss Dogwood
Miesque Nureyev Nothern Dancer Nearctic
Natalma
Special Forli
Thong
Pasadoble Prove Out Graustark
Equal Venture
Santa Quila Sanctus
Neriad
Saddler's Gal Saddler's Wells Northern Dancer Nearctic Nearco
LadyAngela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Fairy Bridge Bold Reason Hail to Reason
Lalun
Special Forli
Thong
Glenveagh Seattle Slew Bold Reasoning Boldnesian
Reasonto Earn
MY Charmer Poker
Fair Charmer
Lisadell Folri Aristophanes
Trevisa
Thong Nantallah
Rough Shod

クロス  Special(Lisabell)…25.00%  Northern Dancer…18.75%  Native Dancer…9.38%


 これとは反対に、通常5代血統表内に同じ馬がいない配合のことをアウトブリードと言います。体が丈夫な馬になりやすいです。ただ、父も母もあまり能力が高くない場合は素直にその能力を引き継いでしまうので、あまり走らないことが多いようです。
 出資馬を決める際には、インブリードが強すぎる馬は避けた方が賢明でしょう。やはり競走馬は確実に走ってナンボですから。クラブのパンフレットにも必ず募集馬ごとに血統表があり、インブリードがある場合はちゃんと表記されていますのでチェックしましょう。また、インブリードを含め多くの配合理論がありますので、それらを調べて出資に役立てるのも面白いですね。
 種牡馬のデータブックを購入されることをオススメします。安いものは500円程度です。各種牡馬の産駒の傾向などが紹介されていますし、種牡馬になるような馬はどんな血統を持っているのか確認できます。一口馬主にとっては必需品です。
 競馬は血統のスポーツと呼ばれています。募集馬の配合の狙いを理解し、納得した上で出資を決定する。これはクラブ馬主の醍醐味の1つで、馬券派の方々には味わえない面白さです。「競馬」に近づけた瞬間を感じずにはいられないはずです。
 パンフレットには「ブラックタイプ」と呼ばれるものが載っています。これは繁殖牝馬・その母というように母方の血統をさかのぼって、近親にどんな馬が輩出されているかチェックするものです。活躍馬が多ければその牝系は活力がある証拠であり、その募集馬も能力が高い確率が高いと判断できます。また、ブラックタイプに紹介されている活躍馬は血統的に募集馬に近い馬であることが望ましいです。母や祖母の近親と4代母や5代母の近親では、当然前者が募集馬との近親度が高いわけで、前者に活躍馬が多くいる方が募集馬も活躍しやすいと判断できます。
 募集馬の母が既に何頭か出産している場合、その兄弟がどんな成績を残しているのか調べることも重要です。コンスタントに勝ち上がり馬を生んでいる母であれば、その募集馬も勝ちあがる可能性が高いといえます。逆に兄弟の成績がさっぱりという募集馬は活躍できるかどうか怪しいと思わざるを得ません。募集馬が繁殖牝馬の初仔であるケースや、繁殖牝馬が高齢で過去に10頭以上の仔馬を産んでいるケースもあります。これらの場合その仔馬は走らないという、ちょっと気になる話があるので紹介します。
 まず初仔のケースですが、体が小さい仔馬が産まれやすいそうです。体が小さすぎることは競走馬にとって良いことではありません。これは現役を引退後、初仔を出産する繁殖牝馬がレースに適した体から繁殖に適した体に変わり切っていないと考えられます
 次に高齢繁殖牝馬のケース。繁殖牝馬は11歳くらいから受胎率が落ち、仔馬の体も小さくなると言われています。年齢とともに繁殖牝馬が父や自分の能力を仔に伝えることも困難になるのでしょう。また牧場にとって繁殖牝馬に種付けをしても受胎しないことは死活問題です。受胎率が落ちた高齢繁殖牝馬に高額な種付けをするのはギャンブルですので、安価な種付けをせざるを得なくなります。すると仔馬の質は落ちるので走る確率は低くなります。高齢出産にはこのような悪循環も生じやすいのです。
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